中国婦女・法律幇助(下半月版)の実現したい野望
豊田正義『DV(ドメスティックーバイオレンス)』(光文社新書。
サブタイトルが、本書小見出しの「殴らずにはいられない男たち」)には主に四つの事例が紹介されているが、加害者(夫)のみならず、被害者(妻)の聞き取りも行われていて、著者の姿勢は公平で誠実である。
豊田によると、加害者は「暴力をやめようと努力している」加害者と、「暴力をやめようとせず居直っている」加害者の二通りにわかれる。
わたしが本書を読んで認識を改めた(まだ全面的にではない)のは、前者の夫たちが自分にしんも自分の振るう暴力に苦しんでいるという事実だった。
「いくら苦しんでいても、どうしてもやめられないんですよ。
(略)最低ですよ、自分は」。
「正気の人がする行為ではないんだけど、止めることができないというか、むしろそうすることでしか彼女といっしょにいる時間をやり過ごすことができなかったんだ」。
このように弁解するのである。
昔から男(夫)は女(妻)を叩いてきたであろう。
程度はさまざまだったろうが、しかし、DVの暴力は半端ではない。
力任せに殴りつけ、蹴り上げ、投げつけるのである。
それが数ヶ月にわたって執拗に繰り返される。
ところが、夫たちはそのつどもう二度としないと謝罪し、ひどい場合には、自殺未遂をしたりする。
妻たちは自分にもいくらかの非(原因)があるのだと考えて、それを赦す。
この連続である。
夫と妻の言い分に、まるで映画「羅生門」のような食い違いがある。
夫には劣等感や、自分の親からの暴力や無視や、妻への僻みや、自己不全感など、いろいろな原因がある。
豊田は夫の暴力を一種の病(?)と見て、しかるべきカウンセラーによるケアが必要だといっている。
だが同書を読んでいると、この夫たちの「苦しみ」には自己欺晦が紛れ込んでいるようにも感じられる。
自分の暴力を認めてそのことに苦しみ反省はするのだが、昨今の事件における責任能力の問題とおなじように、自分の免責を訴えているようでもある。
「あとがき」に興味深い事例が紹介されている。
このケースの加害者は豊田の知人である。
この男は「ある市民運動のリーダー格であり、彼の反体制的な思想と活動に私(豊田…引用者注)は一目置いていた」。
しかし、その男にいわせると、かれの妻は家事能力が最低であり、かれはそのことに耐えに耐えたが「でも限界が来ちゃってさ。
殴ってでもわからせてやらなきゃいかんと思ったんだよ。
いわば躾けのつもりだったんだ」。
けれども、妻にいわせると事情はこうである。
彼女は育児ノイローゼからくるひどい影状態たった。
それを夫はただの怠けとみなして暴力をふるった。
さながら「地獄のようだった」。
豊田は妻のほうに真実があると思う。
「男のほうの思いやりのなさ、共感能力のなさ」がもともとの原因であり、「先に支配ありき」だと断言している。
その暴力男は、あくまでも「自分が正しい」と言い張った。
「だって、そんな夫婦間の暴力なんて小さいことじゃん。
俺は国家権力の暴力と闘ってるんだよ。
豊田さんもさ、男と女の痴話喧嘩ばかり追っかけてたら、一流のジャーナリストにはなれんぞ。
もっと大きな視点を持たなきや」つて、化石みたいなバカじゃないか、こいつは。
豊田はこのように書いている。
妻のノイローゼの介護や、家事や育児に費やす労力や時間は、彼にとって無駄でしかない。
邪魔でしかないという価値観である。
名誉欲が人一倍強く、周囲(主に左翼業界)の評価を常に気にかけ、名声を得るがための派手な活動や言論にしか興味を示さない。
意識を内側に向けて妻の苦しみに共感を示すことなどあり得ない。
(同書)同書にカウンセラーの味沢道明というひとが登場する。
かれは、加害者の人格的特長として「自尊感情が低く、他人の評価に依存する傾向の強い人が多いのではないか」といい、どんなに凶悪な加害者が相談に来ても、けっして「糾弾することなく」「サポレトしていきたい」と語っている。
えらい人だ。
盗っ人にも三分の理というが、暴力夫たちにわたしはほとんど同情しない。
味沢氏のようにはとてもなれない。
しかし同書のなかで文句なく一番のバカ男は、当の自分が最も権力的な反権力闘士に決定である。
ふてえ野郎だ。
死んだほうがいいと思う。
す見物するバカにイッキ飲みバカ「自分」を最終価値とし、自分の「個性」を主張する者たちが、ではその「自分」だけで自立して生きていくのかというと、まったくそんなことはない。
つねに、群れ、たむろするのである。
携帯電話で繋がりを確認しあっていなければ不安でしかたがないのである。
女にふられると、つけ狙い追いまわすのである。
歳をとっても変わらない。
二〇〇一年九月、四十四人の焼死者をだした新宿歌舞伎町の雑居ビル火災の後日、「話のタネにと来た」という男性会社員(47)はビルを背景に同僚三人でデジタルカメラに納まった。
「(現場を見にくる)物見遊山の人ばかり」(『毎日新聞』二〇〇一年九月八日、夕刊)。
事件があると、絶対にこういう見物バカが出現する。
どんなに凄惨な事件であろうとも、この種のバカ男たちがどこからか湧いてきて、中継TVに向けてVサインをだしたり、おなじバカ仲間に携帯をかけたりしている。
和歌山カレー事件の被疑者の家は、遠くから車で見物にくるバカどもでごったがえし、壁や家はペンキで落書きだらけとなり、挙句の果てには、放火までされた。
ある街区でクリスマス用の電飾が家々を飾っていると聞くと、車を飛ばしてわざわざ見に行くバカも年々増加して、交通渋滞騒ぎまでおこす始末である。
上九一色村にあったオウム真理教のサティアン然り。
もう一点の曇りもないバカどもである。
とても主役にはなれないから、せめて劇空間に参加して、助演する我が身を際立たせたいという、全身バカの見本である。
似たようなやつらで、まだ性懲りもなく「イッキ飲み」をやってる大馬鹿野郎たちがいる。
「イッキ飲み防止連絡協議会」という市民団体の調査によると(『読売新聞』二〇〇一年九月二十八日。
しかしこの団体名もすごいね)、四十代の女性が、大学生の息子が「サークルの集まりで大量の酒を飲まされ」て、ついに「度重なる飲み会を苦にし、休学」した、と訴えてきた。
また、ある大学一年生は「部活歓迎会でビール六杯と焼酎五杯をイッキ飲みさせられた」。
三十代の会社員は「異動後飲み会続き。
断ると仲間外れや嫌がらせ」を受けた。
大学生に調査を実施して約千七百人が回答した結果によると、「飲み会を盛り上げるにはイッキ飲みが必要」、「相手の本音を聞くには飲ませるのが得策」とあり、これは各学年の男子の三割前後が肯定している。
「訓練すればアルコールに強くなる」は大学二年の男子の五三%が肯定し、「未成年でも少しなら飲ませても構わない」は男子大学生すべての学年で過半数が肯定している。
いつ頃から「イッキ飲み」が流行るようになったのか。
わたしたちが学生だった一九七〇年前後には、そのような話は聞かなかったからおそらくそのあとであろう。
それまでは「おれの酒が飲めねえのか」とか「酒が飲めないようなやつは男じゃねえ」という個人的な強制があっただけだ(いまでもあるだろう)。
顕著になったのは大学進学率が高まった一九八〇年代頃からか。
どんな時代、どんな社会になろうとも、つねに三割のバカがいるということだ。
しかも新種のバカが。
この三割が牽引してバカの連鎖ができる。
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